検察側が、夫人が殺害された現場にあった血液をDNA鑑定した結果、「Sの″DNA指紋″と一致する」と主張した。
一方、S側の弁護士は過去の裁判で証拠能力が疑われたケースなどを持ち出して、「DNA鑑定そのものに信通性がない」と反論して激しい攻防となった。
事実はどうだったのか、裁判という大きな流れのなかで結論は出なかったものの、DNAにも指紋があるらしいことを多くの人に印象づけた事件であった。
犯罪捜査に登場したDNA鑑定アメリカン・フットボール界のスーパースター、0.J・Sが自分の妻を殺した容疑で開かれていた裁判は、文字どおり全米の注目を集めながら進行した。
そして、アメリカにおける人種問題の複雑さを感じさせるなかで、陪審による無罪の評定が下ったのは1995年10月で同じ頃、イギリスでもDNA鑑定による犯罪捜査が話題となった。
そんなナゾに決着をつけようとして考えられたのが、DNA指紋を利用した本人確認と親子鑑定である。
ここになぜ日本が登場するのかといえば、N2世の血液が日本に残されていたふっしょくの過誤があったとの疑いを払拭できない」との理由で犯行の裏づけにはならなかったのだ。
S裁判にしても九州の裁判にしても、結果的にはDNA鑑定が犯罪捜査の決め手にはならなかった例である。
それでも、犯人を特定するための証拠手段として、これまでの指紋鑑定と同じくらいDNA鑑定が日常的に行われていることがわかると思う。
事実、判例をあたってみると、DNA鑑定が決め手となって有罪の判決が下されたり、逆に、犯人は別人であることが判明した例などに事欠かない。
だからこそ、イギリス警察の例のようにDNA指紋のデータベース化に乗り出す捜査機関が多くあるのだ。
1891年、当時皇太子だったN2世は日本を訪問し、滋賀県の大津市で巡査にサーベルで切りつけられる大津事件に遭遇した。
歴史上有名な事件のため、事件に使われたサーベルや血痕のついた布が保存されている。
そのN2世本人の血痕からDNAを抽出して、N2世といわれる遺体から取ったDNAと照合し、遺体が本人であるかどうか確認しようとしたのである。
結果的には、日本に残された血痕の保存状態がよくなく、DNAの抽出はうまくいかなかったようだ。
代わって、N2世と姻戚関係にあたるイギリス王室の関係者とDNA指紋を比較、イギリスの医学研究所は「98パーセントの確率で遺体はN2世とその一家」との結論を出した。
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